JISX4063 は『仮名漢字変換システムのための英字キー入力から仮名への変換方式』というタイトルのついた規格です。
この本文はJISC 日本工業標準調査会の『JISをご覧になりたい方』から番号に X4063 と入れて検索すると見ることができます。著作権がどうとかで保存できないようにしてあるようですが。
特に興味のある方は実際にそちらを見ていただくとして、そこに記されているローマ字の定義を抜粋するとこんな感じです。用語や文字の使い方は原文のまま。
| 表1 | 直音表記 | し,shi/じ,zi/ち,chi/つ,tsu/ふ,fu/ゐ,wyi/ゑ,wye |
| よう(拗)音表記 | しゃ,sha/しゅ,shu/しょ,sho/じゃ,ja/じゅ,ju/じょ,jo/ちゃ,cha/ちゅ,chu/ちょ,cho | |
| はつ(撥)音表記 | ん,nn (n n' は訓令式に定義されている) | |
| 促音表記1 | っ,xtu | |
| 長音符号1 | ー,- | |
| 外来音表記 | しぇ,sya she/ちぇ,tye che/つぁ,tsa/つぇ,tse/つぉ,tso/てぃ,thi/ ふぁ,fa/ふぃ,fi/ふぇ,fe/ふぉ,fo/ じぇ,zye je/でぃ,dhi/でゅ,dhu (sya は おそらく sye の誤り) | |
| 小書きの仮名 | あ,xa/い,xi/う,xu/え,xe/お,xo/や,xya/ゆ,xyu/よ,xyo/か,xka/け,xke/わ,xwa | |
| 表2 | 外来音等表記 | じゃ,jya/じゅ,jyu/じょ,jyo/ ちゃ,cya/ちゅ,cyu/ちょ,cyo/てぃ,t'i/ ふぁ,hwa/ふぃ,hwi/ふぇ,hwe/ふぉ,hwo/ でぃ,d'i/でゅ,d'yu/ いぇ,ye/うぃ,whi wi/うぇ,whe we/うぉ,who/ くぁ,kwa qa/くぃ,kwi qi/くぇ,kwe qe/くぉ,kwo qo/ つぃ,tsi/とぅ,twu t'u/ ぐぁ,gwa/どぅ,dwu d'u/ う゛ぁ,va/う゛ぃ,vi/う゛,vu/う゛ぇ,ve/う゛ぉ,vo/ てゅ,thu t'yu/ふゅ,fyu hwyu/ う゛ゅ,vyu |
| 促音表記2 | っ,xtsu | |
| 長音符号2 | ー,^ |
表1にあるものは規格に適合するために必ず実装されなくてはならないもの、表2は実装されることが望ましいとされているものです。
さらに 1) m,b,p の前の m を『ん』に変換する、 2) c の前の t を『っ』に変換する という二つが実装してもよいものとされ、表1以外の実装内容は明示されなくてはならないということになっています。
ざっと見て、小書きの文字に関して xa,xi,xu,... に対応する la,li,lu,... が存在しないことと、表2の中に実装例があるのか疑わしいものがあることに気がつきます。特に t'i d'i d'yu t'u d'u および長音に使うとされる ^ はかなり異様に見えます。私が知らないだけかもしれませんが。
(22日補足:長音に使う ^ は異様でもなんでもないです。つまり訓令式で母音の上につける記号をそのまま規格化しただけで…)
これ、制定前に公開プレビューがあったらしく、それは情報技術標準化研究センターのサイトのメニュー側にある『公開レビュー』を覗くと、その一番下に試案段階のものへの案内を見つけることができます。で、最終的にたどり着くのが「仮名漢字変換システムにおけるローマ字入力方式」。
試案の方は小さな html なのでちょっと読んでみてほしいのですが…わかります?
そうなんです。さっきあげた気になる点はいずれも試案段階では出ていません(la,li,lu,... はちゃんと存在する)。わざわざ議論して摩訶不思議規格にしてしまっている感じがします。
あえて説明するなら、こういったところでしょうか?どうにも一貫性がないため、規格として定めている意義があまり感じられません。そんでもって、この規格を満たした IME はあるんでしょうか。
さらに言うなら、この規格を満たしたタイピング練習ソフトってあるんでしょうか…ええ、それが一番言いたかったことなんですけども。
ちなみに、当『姫踊子草の楽屋裏』の最初のコンテンツは JISX4064 の公開レビューに対する投書内容の公開でした。番号が隣接しとるのです。はい。
平成14年6月20日初出、22日一箇所補足修正。